実験(V) 投入順序計画

 

担当

 

 

1.投入順序計画とは

実験(U)で学んだライン生産の結果を受けて、混合ライン生産システムが円滑に稼動するように品種を順序付けて混合ライン生産システムに投入することを考えよう。混合ライン生産システムへの各品種の投入順序は、同ライン管理の目標によって異なってくる。その目標には、主として次の二つがある。

  1. ライン内の各工程への負荷(工数)を均一化すること
  2. ライン内の各工程で使用する部品の消費量を均一化すること

 

 

2.投入順序決定法

21.投入順序決定法の位置付け

混合ラインを設計する手続きは、図1のようである。

 

1.混合ライン設計の手順

 

なお、「(5)混合ラインに生産システムへの製品投入順序の決定」が、ここでいう投入順序計画にあたる。これについて、その問題のイメージを示すと図2のようになる。

 

 

 

2.投入順序計画のイメージ図

 

 

以下に、ライン内の各工程への負荷(工数)を均一化する方法について述べる。

 

22.ライン内の各工程への負荷(工数)を均一化する投入順序決定モデル (目標追跡法)

各記号を以下のように定める

Q   全製品 Ai の総生産量 i1,・・,α Qi 各製品 Ai の生産量

Nj 全製品 Ai i1,・・,α の生産に使用される工程 aj ( j1,・・,β ) の総工数

Xjk 1番目からk番目までの順序の製品を生産するのに使用される工程 aj の総工数

 

このことを考慮に入れると、次の2つの数値が導かれる。

Nj / Q :製品1単位当たりの工程 aj の平均工数

k 個の製品を生産するための工程 aj の平均工数

 

さて、工程 aj における工数の安定的消費のためには、 Xjk の値は可能な限り、の数値に近づけねばならない事が分かる。この考えを全工程に同時に適用することを考えよう。

今、 k 個の製品投入までの平均工数と実所要工数をベクトルにまとめると以下のようになる。

Gk = ( k N1 / Q , k N2 / Q , … , k Nβ / Q )

Pk = ( X1k , X2k , … , Xβk )

 

ある投入順序が各工程の負荷を出来るだけ一定に保つことができるようにするためには、点 Pk を可能な限り点 Gk に近づけなくてはならない。したがって、点 Pk が点 Gk に接近する程度を距離 Dk を使って表現すれば、

となり、これを最小化すればよい。これを目標追跡法と呼ぶ。具体的な手順は以下に示す。

 

3Xjk の間の関係

 

 

[目標追跡法の手順]

bij を、製品 Ai i1,・・,α 1単位を生産するのに工程 aj ( j1,・・,β ) において必要な工数量であるとする。そして以下の4つのステップにより逐次投入順序を求める。

 

1 k = 1 Xj,k - 1 = 0( j1,・・,β ) ,Sk - 1 = {1,・・・ α}とおく。

 

2) 順序計画の k 番目に距離 Dk を最小化する製品 Ai をおく。

最小距離は次式により求めることができる。

Dki * = min {Dkii Sk - 1

ここで

 

3) 製品 Ai の全単位が順序付けられ、順序計画に含まれてしまえば

Sk = Sk - 1 {i*}とおく。

製品 Ai の一部単位がまだ順序づけられていなければ、

Sk = Sk - 1 とおく。

 

4  Sk =f (空集合)なら、手順は完了する。

Sk f なら、Xjk = Xj,k - 1 + bi*,j

( j1,・・,β )を計算し、k = k + 1とおいて、ステップ2に戻る。

以下に数値例を与える。

 

[目標追跡法の数値例]

以下の例題を考えよう。

1.生産量Qi

製品 Ai

A1

A2

計画生産量Qi

3

2

 

2.工数条件bij

    工程aj

製品Ai

a1

a2

A1

9

10

A2

8

12

 

いま、製品 A1 A2 の生産量 Qi (i = 12)と、これら製品1単位当たりの生産に必要な工程 a1a2 の工数 bij (i = 12 ; j = 1,2)が表1に示されたとおりであるとすれば、全製品 Ai (i = 12) を生産するための工程 aj (j = 12) の総工数 Nj は、次のように算出できる。

さらに、全製品 Ai (i = 12)の総生産量は次のようになる。

したがって、[ Nj /Q ]=[43/554/5] (j = 12)

ついで、[ Nj /Q と[ bij ]の数値を前掲目標追跡法のステップ2の式に当てはめる。

 

まず、k = 1の時、距離 Dki は次のように算出できる。

 

i = 1に対して、

i = 2に対して、

故に、  ∴ i *1

 

したがって、最初に投入する製品は、製品 A1 となる。

 

次に、前記目標追跡法の第4ステップに進んで、Xjk = Xj,k - 1 + b1,j より

X1,1 = 0 + 9 = 9

X2,1 = 0 +10 =10 となる。

 

この計算にもとづくと、表3に示す順序計画の順序の第 1行目を記入することができる

 

k = 2の時も同様に、

i = 1に対して、

i = 2に対して、

故に、  ∴ i * = 2

 

よって、2番目に投入する製品は、製品 A2 である。また、 Xjk は次のように算出される。

Xjk = Xj,k - 1 + b2,j より

X1,2 = 9 + 8 =17

X2,2 = 10 + 12 = 22

 

この手続きを使って、表 3の第2行目を書くことができる。以下同様にして、本例の完全な順序計画を求めると、表3に示すように以下のようになる。

 

3 順序計画法

k

Dk1

Dk2

順序計画

X1k

X2k

1

0.894*

1.342

A1

9

10

2

1.789

0.447*

A1 A2

17

22

3

0.447*

1.789

A1 A2 A1

26

32

4

1.342

0.894*

A1 A2 A1 A2

34

44

5

0*

A1 A2 A1 A2 A1

43

54

 

23.実験課題4

1)投入順序計画の体験

ここでは、ボイラー生産工場の実際のデータを用いて投入順序計画の立案と性能評価の体験学習をしてみよう。なお、この課題は、図5のフローチャートに従って取り組むこと。

 

5.実験の手順(第 3 回)

 

すなわち、次の3つの課題に答えよ。

 

  1. 前回のライン編成の実験で用いたデータを用いて、目標追跡法のロジックによる投入順序決定のための<投入順序プログラム1>を起動して各品種のライン生産工程への投入順序を決定せよ。
  2. <投入順序プログラム2>を起動して各品種のライン生産工程への投入順序を決定せよ。
    但し各自投入順序のルールを考案しそれに基づき投入順序を決定せよ。
  3. 各投入代替案の目標工数からの距離を教示する<投入順序プログラム1a>を用い、 目標追跡法のロジックを確かめよ。

 

 

「投入順序プログラム2」の実行例

 

 

画面出力

ファイル出力

品種数は 3です。
品種 1の生産数量は 10です。
品種 2の生産数量は 10です。
品種 3の生産数量は 10です。
総生産量は 30です。
工程数は 10です。

(途中省略)

投入順序は以下の通りです。
123321123321123321123321123321
実工数の目標工数からの平均距離(10次元空間内の距離)は 52.3737です
実工数と目標工数の距離(10次元空間内の距離)の最小値は 0です。
実工数と目標工数の距離(10次元空間内の距離)の最大値は 96.6931です。

 

  

【パソコンによる処理手順】

 

以下の手順に従って本日の課題に取り組むこと。

1)サーバーから課題ファイルあるいはプログラムファイルを持ってくる。

各自、サーバー上の\\labfsrv01\common\生産システム工学実験\生産管理実験第3回(投入順序計画)\課題4-14-3から該当する課題ファイルあるいはプログラムファイルを各自のコンピュータ上にコピーする。

 

2)各自のコンピュータ上で、課題を処理する。

課題とプログラムは、それぞれMSWORDあるいはC++言語で記述されている。プログラムの出力結果は画面とファイルに出力されるので、出力ファイル(ワードファイル)を各自のワードファイルに保存することによって再利用することができる。プログラムと出力ファイル名の対応を以下の表に示す。

 

4.各プログラムの出力ファイル名

プログラム名

出力ファイル名

投入順序プログラム1

投入順序出力ファイル1

投入順序プログラム1a

投入順序出力ファイル1a

投入順序プログラム2

投入順序出力ファイル2

 

3)レポートをワードファイルに作成し、提出する。

提出方法は、サーバー上の \\labfsrv01\common\生産システム工学実験\生産管理実験第3回(投入順序計画)\課題4-1提出フォルダ4-2提出フォルダにコピーすること。

 

報告内容は以下の項目とする。

1)について

・プログラム実行結果
・評価尺度値
・考察

 

2)について

・プログラム実行結果
・評価尺度値
・考察(ルールの説明を含む)

 

3)について

確認のみで提出不要

 

 Copyright: Hiroshi Katayama, OPM Lab, Waseda University.