実験(T      生産負荷計画

 

担当

 

1.生産負荷計画とは

 

生産負荷計画の機能は、一般に、図のように市場の需要量動向と製品在庫量を推定、監視しながら、工場に対して適切な生産指示を与えることを使命としている。

 

 

1.生産負荷計画のイメージ図

 

2.品種が1種類の場合

21.生産負荷計画の仕組み

各期の末に工場に対して生産指示をかけると、その仕事量が次期の工場負荷量となって生産活動が行われる。 1期間かかって生産が完了すると、次々期の製品在庫量として需要に応ずることができるようになる。この時、直前の期末の製品在庫があればそれも利用できる。次々期の需要が到着する毎に製品が払い出されて行き、当期の需要量が確定する期末にある量の製品在庫が手元に残る(品切れの場合もあり得る)。これが繰返され、結果として生産負荷量、製品在庫量は各期ごとに変動することになる。

 

(生産リードタイムが1期分の場合)

2.需要、生産、在庫の関連図

 

22.生産負荷計画システムの構成要素

このような仕組みの全体をシステムとして捉え、動きをまとめると、「市場から到着してくる需要に対応するため、毎期、生産負荷量を決定、指示し、生産による一定のリードタイムを経て製品となり、需要に対して出荷される。」となる。さて、このようなメカニズムを有する生産負荷計画システムは、以下の3つの要素に分けることができる。

【需要系列のモデル】

【システム構造のモデル】

【生産負荷計画量決定のモデル】

 

以下に、実験の前提となる仮説を各モデルごとに説明しておこう。

 

1)需要系列のモデル

需要量は、ある一定水準のまわりを独立に変動しているとする。このとき、需要量の構造は次式で表される。

  (2.1)

ただし、

:第 期の需要量

 :需要の母平均(時間 に関係なく一定)

 :需要の変動部分

       に関して独立な正規分布N0,σ2に従うとする。 

       (注)実験に際しては正規乱数を発生させて用いる。

平均0,分散1の正規乱数の発生原理は以下のようである。

[0, 1]の範囲に均等に分布する一様乱数を Xi とすると、以下の式により求めた Y は標準正規分布N01に従う。

   (2.2)

 

2)システム構造のモデル

このモデルは需要量、負荷計画量、および製品在庫量の間の物理的な関係を表現したもので、構造モデルと呼ばれる。

今、工場での生産に1期分の時間が必要であるとし、第 t 期末に決定した生産負荷計画量は、第(t 2)期首に完成し、その期の需要に対して払い出すことができるとしよう。当期の期首在庫量は、前期の期末在庫量と、1期分前に生産指示されて当期首に納入された量との和である。この期首在庫量より、今期の需要量を引いた量が当期の期末在庫となる。この関係は、一定の条件の下で生産負荷計画量の決定方法に関わりなく常に成り立つものであり、この意味でシステムの基本構造となっている。

     (2.3)

ただし、

:第 t 期の期末在庫量(負の場合は受注残を表す。)

:第 t2 期末に決定された生産指示量で、第 t 期首に納入される。

:第 t 期の需要量(受注残は含まれない。)

 

3)生産負荷計画量決定のモデル

この決定は、毎期末時点でなされるとしよう。この時、第 t 期末においては、第 t 期までの需要量と期末在庫量、および第 t1期までの生産負荷計画量の情報が既に分かっているので、当該時点での決定にこれらの情報は利用可能である。この関係を数式で表現すると以下のようになる。

 

a . 生産能力が無限の場合

    (2.4)

 

b . 生産能力が有限である(保有工数に上限がある)場合

     (2.5)

ただし、

 :第 t 期末に決定される生産負荷計画量で、第 t 2 期首に納入される。

 :第 t 期以前の需要量の集合

 :第 t 期以前の期末在庫量の集合

 :第 t1 期末以前に決定された生産負荷計画量の集合

 

23.負荷計画方法の評価

以下の各特性量をシステムの性能を評価する尺度としよう。

製品在庫量、負荷計画量についての平均、範囲(最大値と最小値の差)、および製品在庫品切れ回数

 

24.実験課題1 生産能力が無限の場合

1.<品種1プログラム1>を起動し、20期にわたる負荷計画を実行したときの結果を、需要量、負荷計画量、在庫量の挙動およびサマリーデータに基づき考察せよ。このプログラムは、負荷計画の方法をルール化し、コンピュータ上で自動的に生産量が決定できるようにしたもので、人間による負荷計画立案過程をある論理で代替したものとなっている。具体的には、需要量の平均値に等しい一定量を各期の負荷量とする単純なルールである。

2.<品種1プログラム2>を利用して、性能のよい負荷計画ルール(シミュレーション期間は20期とする)を検討、立案せよ。このプログラムでは負荷計画を算定する部分が空欄になっており、そこに各自が考えた計画ルールをプログラム化して加えることによってその性能を確かめることができるようになっている。

 

【実験の手順】

以下の手順に従ってこの課題に取り組むこと。

1)サーバーからプログラムを持ってくる。

各自、サーバー上の\\labfsrv01\Common\生産システム工学実験\生産管理実験第1回(生産負荷計画)\実験課題1 から該当するプログラムを各自のデスクトップにコピーする。

 

2)各自のコンピュータ上で、プログラムを実行する。

プログラムC++言語で記述されている。また、結果は画面とファイルに出力されるので、出力ファイル(ワードファイル)を各自のワードファイルに保存することによって再利用することができる。プログラムと出力ファイル名の対応を以下の表に示す。

1.各プログラムの出力ファイル名

プログラム名

出力ファイル名

品種1プログラム1

品種1出力ファイル1

品種1プログラム2

品種1出力ファイル2

 

3)結果を表やグラフにし、検討考察する。

EXCELを用いてグラフ化を試みる。また必要があれば23の手順を繰り返す。

出力ファイルをEXCELに取り込む方法:

1. EXCELを起動する

2. 「ファイルを開く」にして検索先はプログラムファイルを保存した位置を指定する

3. 「ファイルの種類」を選び「すべてのファイル」に指定する

4. 「品種1出力ファイル」を選びファイルを開く

 

5. テキストファイルウィザードが起動し、下の画面で「次へ」をクリックする

 

 

6. 下の画面で区切りたい位置をクリックして線を入れて「完了」をクリックする

 

 

4)レポートをワードファイルに作成し、提出する。

提出方法は、各自サーバー上の\\labfsrv01\Common\生産システム工学実験\生産管理実験第1回(生産負荷計画)\課題1提出 フォルダに提出すること。

報告内容は以下の項目とする。

<品種1プログラム1>について

@時系列データ(各期の需要量,期末在庫量および生産指示量のグラフ化が望ましい。)
A表による評価尺度値の整理
B考察

<品種1プログラム2>について

@提案する生産負荷計画ルールとアイデアの説明
A時系列データ(各期の需要量,期末在庫量および生産指示量のグラフ化が望ましい。)
B表による評価尺度値の整理
C考察

なお、参考のため、以下に4種類の需要量データ系列を示しておく。必要に応じて適宜利用すること。

 

2.出力ファイルの内容例


需要量
Dt

期末在庫量
It

生産指示量の決定ルール
Pt = ?

生産指示量
Pt

-2

-1

0

100

100

100

0

0

0

 

100

100

100

1

2

3

4

 

 

 

 

 

20

120

90

95

105

 

 

 

 

 

110

20

10

5

0

 

 

 

 

 

3

 

110

105

103

105

 

 

 

 

 

95

 

3.品種が3種類の場合

31.生産負荷計画システムの構成要素

品種が 1種類の場合と同様、以下の3つのモデルで構成される。

【需要系列のモデル】

【システムの構造式】

【生産負荷計画量決定のモデル】

以下に、実験の前提となる仮説を各モデルごとに説明しておこう。

 

1)需要系列のモデル

品種ごとの需要量は、それぞれ、ある一定水準のまわりを独立に変動している。このとき、需要量の構造は次式で表される。

    (3.1)

ただし、

 :第 i 品種の第 t 期の需要量

  :第 i 品種の需要量の母平均(時間 t に関係なく一定)

 :第 i 品種の需要量の第 t 期における変動部分

 は各期ごとに独立な正規分布 N0,σ2 に従うとする。

 (注)実験に際しては正規乱数を発生させて用いる。

 

2)システム構造のモデル

品種が 1種類の場合と同様、一定の条件の下で以下のような構造モデルが成り立つ。

    (3.2)

ただし、

 :第 i 品種の第 t 期における期末在庫量(負の場合は受注残を表す。)

:第 i 品種の第 t2 期末に決定された生産負荷計画量で、第 t 期首に納入される。

 :第 i  品種の第 t 期の需要量(受注残は含まれない。)

 

3)生産負荷計画量決定のモデル

1品種の場合と同様、この決定は毎期末時点でなされるとしよう。従って第 t 期末においては、各品種ごとの第 t 期までの需要量と期末在庫量、および第 t1 期までの生産負荷計画量の情報が既に分かっているので、当該時点での決定にこれらの情報は利用可能である。この関係を数式で表現すると以下のようになる。

a . 生産能力が無限の場合


  
(3.3)


b . 生産能力が有限である(負荷工数に上限値と下限値がある)場合

   (3.4)

s.t.   

ただし、

 :第 i 品種の第 t 期末に決定される生産負荷計画量で、第 t2期首に納入される。

 :各品種の生産負荷計画量の調整方式

:第 i 品種の第 t 期末に決定される調整前の生産負荷計画量

 :第 i 品種の第 t 期以前の需要量の集合

  :第 i 品種の第 t 期以前の期末在庫量の集合

  :第 i 品種の第 t1期末以前に決定された生産負荷計画量の集合

  :第 i 品種の生産負荷計画量を所要工数に変換する係数

  :工場の最低操業水準(工数)

  :工場の最大生産能力(工数)

 

従って、各品種の生産負荷量が工場の最低操業水準と最大生産能力の間で競合し、複雑な決定問題となる。ここでは、各品種の調整前生産負荷計画量の算定方式もさることながら、各品種の生産負荷計画量の調整方式を如何に構成するかが重要となる。

 

【調整ルール】

(3.4) 式の調整方式について具体的な案をいくつか示す。

 

1)各品種の需要量平均に等しい水準で固定する(これは操業水準に関する制約条件を満たしており、調整は不要であるとする)。

   (i=1,...,3)       (3.5)

 

2)各品種の暫定生産負荷計画量から必要な暫定総工数を求め、制約条件を超える工数について、それを各品種に割り振って調整する。

 

a. 工数の上限値を超えたとき

総超過工数を各品種の所要工数比率で比例配分することによって、各品種の削減工数を求める。まず、総超過工数は、(3.6)式で表される。

 

   (3.6)

 

従って、各品種の削減工数は、 (3.7)式のようになる。

 

        (3.7)

 

これを数量に変換するには、で割ればよいから、(3.8)式を得る。

 

      (3.8)

 

(3.8) 式は削減すべき量を示しているので、最終的な調整済み生産負荷計画量は(3.9)式で与えられる。

 

        (3.9)

 

 

b. 工数の下限値を下回ったとき

同様の考察により(3.10)式を得る。

        (3.10)

 

これらの結果より、 (3.9) (3.10)式を用いて生産負荷計画量の調整を行う。

 

3)在庫水準の低い品種を重み付けして生産量を決定(在庫水準反比例法)

各自、検討すること。

 

32.負荷計画方法の評価

1品種の場合と同様、以下の各特性量により評価する。

各品種の製品在庫量、負荷計画量についての平均、範囲(最大値と最小値の差)、および製品在庫品切れ回数

 

33.実験課題2 生産能力が有限である(負荷工数に上限値と下限値がある)場合

1.<品種3プログラム1>を起動し、20期にわたる生産活動の結果をアウトプットである各品種ごとの製品在庫量、負荷計画量についての平均、範囲(最大値と最小値の差)、及び製品在庫品切れ回数のデータに基づき考察せよ。このプログラムは、 調整ルールの1)を用いたものである。

2.<品種3プログラム2>は 【調整ルール】の項の2)で述べた負荷計画ルールを用いている。このプログラムは調整済み負荷計画量を求める部分が空欄になっているので、そこにプログラムを書き加えて完成させなさい。また、各品目の安全在庫量も空欄になっている。品切れが解消され、可能な限り少ない安全在庫量を求めなさい。なお、シミュレーション期間は20期とする。

 

【実験の手順】

以下の手順に従ってこの課題に取り組むこと。

1)サーバーからプログラムを持ってくる。

各自、サーバー上の\\labfsrv01\Common\生産システム工学実験\生産管理実験第1回(生産負荷計画)\実験課題2 から該当するプログラムを各自のデスクトップにコピーする。

2)各自のコンピュータ上で、プログラムを実行する。

結果は画面とファイルに出力されるので、出力ファイル(ワードファイル)を各自のワードファイルに保存することによって再利用することができる。プログラムと出力ファイル名の対応を以下の表に示す。

 

3.各プログラムの出力ファイル名

プログラム名

出力ファイル名

品種3プログラム1

品種3出力ファイル1

品種3プログラム2

品種3出力ファイル2

 

3)結果を表やグラフにし、検討考察する。

EXCELを用いてグラフ化を試みる。また必要があれば23の手順を繰り返す。

出力ファイルをEXCELに取り込む方法: 省略

4)レポートをワードファイルに作成し、提出する。

提出方法は、各自サーバー上の\\labfsrv01\Common\生産システム工学実験\生産管理実験第1回(生産負荷計画)\課題2提出 フォルダに提出すること。

報告内容は以下の項目とする。

<品種3プログラム1>について

@表による評価尺度値の整理
A考察

<品種3プログラム2>について

@提案する生産負荷計画ルールとアイデアの説明
A時系列データ(各期の需要量,期末在庫量および生産指示量のグラフ化が望ましい。)
B表による評価尺度値の整理
C考察

 

4.宿題( 生産能力が有限である(負荷工数に上限値と下限値がある)場合

上記の4つの課題(1品目の場合:2件、3品目の場合:2件)の内、実験課題2<品種3>に関する課題について、時間内に終わらない者は宿題とし、次週の同実験開始までに提出完了しておくこと。

提出要領は、サーバー上の\\labfsrv01\Common\生産システム工学実験\生産管理実験第1回(生産負荷計画)\課題2時間外提出 にコピーすること。なお、次週の初めに解答例(サーバー上の\\labfsrv01\Common\生産システム工学実験\生産管理実験第1回(生産負荷計画)\実験課題2\宿題解答内)を与えるので、各自指示に従って自分のファイルにコピーすること。

なお、参考のため、以下に4種類の需要量データ系列を示しておく。必要に応じて適宜利用すること。

 

4.需要データ(30期):Dt

A(第1回目)

B(第2回目)

C(第3回目)

D(第4回目)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

103

106

105

95

123

111

78

96

110

68

94

78

114

124

77

119

73

109

97

35

125

118

115

111

104

88

86

92

103

90

66

92

98

106

87

87

127

103

85

121

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

115

96

84

73

110

116

87

94

107

99

117

115

125

118

115

111

104

88

86

92

99

125

66

92

98

106

87

87

127

103

105

110

105

112

127

95

164

104

110

79